LAIT NEWS

No.135:バックナンバー

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■LAIT News【Vol.135 2009/11/20号】

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1.LAIT活動報告
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LAITセミナーについてお知らせします。

*協賛:三好内外国特許事務所

■■最新の活動報告■■
「Google訴訟和解の意味するものとその影響」は好評のうちに終了いたしました。
悪天候の中、たくさんの方にご来場いただき誠にありがとうございました。

■■お詫び■■
12月開催予定の「ネット上における著作権侵害とその対策について
〜侵害の実態を踏まえて〜」は、やむを得ない緊急の事情により
2010年3月に延期することになりましたので、ご了承ください。
なお、新たな日程につきましては、後日ご案内いたします。

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2.海外の注目ニュース
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海外の注目の最新ニュースをお知らせします。

■■EU加盟国と欧州議会がネット遮断めぐる新条項で合意、
通信規制改革法案が来年初めに成立へ■■
●欧州議会とEU加盟国は11月4日に調停委員会を開いて通信規制改革法案に
ついて協議し、違法ダウンロード対策として規制当局がインターネット接続を切断
するなどの措置を講じる際の要件を定めた追加条項を法案に盛り込むことで合意
した。11月末までに欧州議会本会議とEU閣僚理事会で修正法案について採決を
行い、来年初めの発効を目指す。
 欧州委員会が2007年に打ち出した通信規制改革法案は、域内の多くの国で
依然として旧国営通信会社などが市場を支配している現状を改善して公正な競争
を促進すると同時に、利用者により多くの権利と選択肢を与えることを目指して
いる。具体的には各国の通信当局を統括する「欧州通信監督機関(BEREC)」の
創設、ユーザーが1営業日以内に事業者を自由に変更できる仕組みの確立、
不正アクセスなどセキュリティ上の問題によって個人データが流出した可能性が
ある場合の報告義務化などが法案に盛り込まれている。
 欧州議会と加盟国は今年4月に法案の内容でいったん合意したが、インター
ネットをめぐる利用者の権利に関連して、フランスで違法ダウンロードの常習者に
対して3回目の違反でネット接続を切断することを柱とする、いわゆる「スリー
ストライク法」の成立が確実になったことを背景に(修正法案が10月に成立)、
欧州議会は5月、当局の権限でネット接続を切断する場合は事前に裁判所の
許可を要するとの条項を付け加えた修正案を可決した。これに対し、加盟国は
ネット上の海賊行為に対する取り締まりを強化すべきだとの立場から、6月の
通信相理事会で修正案を否決。法案に盛り込まれた他の項目はすべて承認
されながら、改革案は宙に浮いた状態が続いていた。
 今回新たに付け加えられた「インターネット上の自由に関する条項」は、当局が
電気通信ネットワークを介して提供されるサービスへのアクセスや利用を制限する
場合、いかなる措置も「欧州人権条約やEU法が保障する基本的人権と自由」を
尊重したものでなければならないと明記。加盟国は「推定無罪の原則やプライバシー
保護の原則に則り」、本人への事実確認や裁判所の判断など「事前の公正かつ
公平な手続き」を経なければ、ユーザーの権利を制限する措置を講じることは
できない旨を規定している。
 欧州委のレディング委員(情報社会・メディア担当)は声明で「インターネット
利用に関する新たな条項はEU市民にとって大きな勝利だ」と強調。適正な事前の
手続きや時宜を得た裁判所での審理が保証されない限り、違法ダウンロード対策
としてインターネットへのアクセスを遮断することはできないと説明した。
 欧州議会と加盟国の承認を得て法案が成立した場合、加盟国は施行から18カ月
以内に国内法を整備することが義務付けられる。また、域内の通信市場における
規制・監督制度の一本化に向け、来春にもBERECが創設される見通しだ。
(European Parliament Press Release, November 5, 2009 他)

■■グーグルがブック検索訴訟で修正和解案、英語圏4カ国に対象限定■■
●米グーグルは13日、同社の「ブック検索」サービスをめぐる集団訴訟の和解案
について、適用対象を米国、英国、カナダ、オーストラリアで発行された書籍に
限定することを柱とする修正案をニューヨーク連邦地裁に提出した。当初の
和解案が裁判所に承認された場合、米国以外の書籍もデジタル化の対象となり、
各国の著作権者に影響が及ぶため、欧州を中心にグーグルに対する批判が
高まっていた。グーグルはこうした動きを背景に、まず英語圏の主要4カ国で
書籍のデジタル化事業を進める方向に軌道修正した。裁判所は公聴会などを
経て、来年の早い段階で修正案を承認するかどうか最終判断するものとみられる。
 グーグルは2004年に大学図書館の蔵書をスキャンしてデータベース化する事業
に着手した。出版社や作家協会はこれに対し、著者や出版社の許可を得ずに書籍
をデジタル化する同社のサービスは深刻な著作権侵害行為に当たると主張し、
05年9月に相次いで訴訟を起こした。双方は3年にわたる交渉を経て昨年10月、
グーグルが書籍データベースの利用を通じて得た利益の63%を著作権者に支払う
ことなどを柱とする和解案で合意。無許可でデジタル化された書籍に対する補償金
や、オンライン上での書籍の著作権管理や権利者への利益分配などを行う独立
機関「版権レジストリ」の創設費用、さらに訴訟費用として合計1億2,500万ドルを
グーグルが負担することなどが和解案に盛り込まれた。
 同事案は集団訴訟と認定されたため、米国で著作権を有するすべての人に
和解の効力が及ぶとされ、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定に
より、日本や欧州など国外の著作者や出版社も対象に含まれることとなった。
和解案が承認されると米国のユーザーは著作権保護期間が終了した書籍に加え、
著作権者を特定できない「孤児作品」を含めて絶版または市販されていない保護
期間内の書籍も閲覧できるようになる。市販されているかどうかは米国内での流通
状況に基づいて判断されるため、国外で市販されている保護期間内の書籍が
権利者の許可なくデータベースに取り込まれて公開される可能性があり、フランス
やドイツなどが強く反発。米連邦取引委員会(FTC)や米司法省も当初の和解案に
懸念を示し、グーグルに修正を迫っていた。
 今回の修正案によると、和解の対象は2009年1月5日までに発行され、米国
著作権局に登録済みの書籍と、米国、英国、カナダ、オーストラリアで同日までに
発行された書籍に限定され、「商業的に入手可能」な書籍は「これら4カ国で入手
可能なもの」と定義された。また、孤児作品の取り扱いに対する懸念に対応する
ため、孤児作品の権利者の利益保護にあたる独立した「受託者(fiduciary)」を
置き、著作者の特定などに努めるほか、商業化に関連したあらゆる決定を行う
仕組みを整える。さらに版権レジストリの構成について、和解の対象となる4カ国の
作家と出版社から各1名ずつの計8名を理事会メンバーとする方針が明記されて
いる。
 欧州出版連盟(FEP)は修正和解案について「グーグルと米国の関連団体が
欧州出版業界の懸念に配慮し、いくつかの点で前進がみられたことは評価する。
さらに内容を精査したうえで最終的に判断する」との声明を発表した。一方、当初
の和解案の修正を求めてマイクロソフト、ヤフー、アマゾンなどが結成した
「オープン・ブック・アライアンス」の首脳は「新たな提案を検証したが、グーグル
とそのパートナーは巧妙なごまかしを行っているとの印象を受けた」と述べ、
孤児作品の扱いなどをめぐる根本的な問題は解消されてないとの見方を示した。
また、米司法省の報道官は「修正和解案について現在検討を進めている。
ブック検索サービスをめぐる調査は引き続き進行中だ」とコメントしている。
(The New York Times, November 14, 2009 他)

(庵研究員著)

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3.政府・団体の動向
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政府・団体の動向に関する最新記事の抜粋です。
詳細の横のURLをクリックすることで記事全文を示したページにアクセスできます。

■■情報セキュリティ法務関連政府・団体の動向■■

●11月4日、NPO日本ネットワークセキュリティ協会が「2008年 情報セキュリティ
インシデントに関する調査報告書」を公表
詳細:http://www.jnsa.org/result/2008/surv/incident/index.html

●11月17日、テレコムサービス協会が「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害
への対応に関するガイドライン(案)パブリックコメントの募集について」を公表
詳細:http://www.ccif-j.jp/news_20091116.html

■■コンテンツビジネス法務関連政府・団体の動向■■

●11月5日、コンピュータソフトウェア著作権協会が
「ヤフーオークションで海賊版を販売、男子大学生を逮捕」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2009/0911.php

●11月13日、日本音楽著作権協会が「動画投稿(共有)サイトにおける著作権侵害
東京地裁が運営事業者に対する侵害差止めと損害賠償請求を認容」を公表
詳細:http://www.jasrac.or.jp/release/09/11_1.html

●11月13日、実演家著作隣接権センターが「私的録音録画補償金制度に関する
合同記者会見で声明を発表」を公表
詳細:http://cpra.jp/web/news/news_091113_2.html

●11月13日、Culture First 〜はじめに文化ありき〜が
『私的録音録画補償金制度に関する合同記者会見を開催、
「あらためて、補償金制度の適正な見直しについて」と題する声明を
発表しました』を公表
詳細:http://www.culturefirst.jp/news/2009/11/post_4.html

●11月17日、総務省が「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社
の第一種指定電気通信設備に関する接続約款の変更案に対する意見募集」を
公開
詳細:http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/21365.html

●11月18日、総務省が「情報通信審議会 情報通信技術分科会 産学官連携
強化委員会(第2回)配布資料」を公開
詳細:http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/policyreports/joho_tsusin/sangakukan/21467.html

●11月19日、コンピュータソフトウェア著作権協会が「悪質な海賊版販売
行為者に対して損害賠償を請求」を公表
詳細:http://www2.accsjp.or.jp/activities/2009/news97.php

■■産業財産権法務関連政府・団体の動向■■

●●11月10日、特許庁が『新興国知的財産制度シンポジウム
「新興国特許庁との対話」開催のお知らせ』を公表
詳細:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/hiroba/shinkoukoku_sympo.htm

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4.セミナー情報
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最新のセミナー情報をお知らせいたします。
詳細の横のURLをクリックすることでセミナー詳細情報を示したページにアクセス
できます。

■■情報セキュリティ法務関連セミナー情報■■

演題:新情報環境セミナー
〜市民と企業のための「安信簡」情報環境構築を目指して〜
日時:平成21年11月24日
主催:日本情報処理開発協会 電子商取引推進センター
詳細:http://www.jipdec.or.jp/esstec/anshinkan/index.html

演題:2009年度 情報セキュリティ監査シンポジウム in Tokyo
日時:平成21年11月30日
主催:日本セキュリティ監査協会
詳細:http://www.jasa.jp/seminar/sym2009_tokyo.html

■■コンテンツビジネス法務関連セミナー情報■■

演題:Internet Week 2009
「インターネットの進化論」
日時:平成21年11月24日〜27日
主催:日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
詳細:https://internetweek.jp/

演題:日米欧におけるコンピュータ・ソフトウェアの特許保護の動向
日時:平成21年11月26日
主催:ソフトウェア情報センター
詳細:http://www.softic.or.jp/seminar/2009-pat/semi0911.htm#top

演題:平成21年12月著作権研究会
「混迷する著作権保護の考え方」
日時:平成21年12月8日
主催:著作権情報センター
詳細:http://www.cric.or.jp/seminar/seminar0912.pdf

■■産業財産権法務関連セミナー情報■■

演題:知的財産セミナー 中小企業における知財有効活用
日時:平成21年度11月26日、
主催:知的財産研究所
詳細:http://www.jiii.or.jp/semina/pamph/1126_Tokyo.pdf

演題:AIPPI外国特許制度セミナー
日時:平成21年度12月15,16日、
主催:AIPPI/日本国際知的財産保護協会
詳細:http://www.aippi.or.jp/japan/seminar_8700.html

*詳細は、主催団体のHPへのリンクです。リンク先のコンテンツの内容・著作権等
に関しては、各リンク先にお問い合わせください。

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5.事務局からの連絡
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●次号は、2009年12月7日頃発行の予定です。
●ご意見、ご要望は事務局までどうぞお寄せください。
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■本メールは、IT企業法務研究所の会員様およびLAIT NEWS登録会員様に
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事務局までご連絡ください。
なお、当メールマガジンに記載されている情報の正確さについては万全を
期しておりますが、本メールによって提供された情報に基づくすべての行為に
よって会員がいかなる損害を受けた場合であっても研究所は一切の責任を
負いかねます。
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【発行元】
IT企業法務研究所
(Legal Affairs on Information Technology Institute:LAIT) 
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【お問合せ先】 IT企業法務研究所 事務局
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          東京都千代田区内神田2-2-6 田中ビル6F
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