“東京バレエ団は「私の人生そのもの」”(東京バレエ団 佐々木忠次代表) ―創立50周年を迎えた東京バレエ団―
IT企業法務研究所代表研究員 棚野正士
2014年東京バレエ団は創立50周年を迎えた。
創立50周年を機に、368ページの大著「東京バレエ団50年のあゆみ」が発行されている。この中で、冒頭「遥けくも来つるものかな」として「1964年、東京オリンピックが開催された8月30日に東京バレエ団は産声をあげた。以来、悪路の中を歩み続けて50年が経った。ふりかえれば、遥けくも来つるものかな、という思いが深い。」と書かれている。
東京バレエ団創立50周年<祝祭ガラ>が8月29・30・31日、NHKホールで開催され、30・31日には祝賀パーティが同ホールで開かれた。
祝祭ガラには、ウラジーミル・マラーホフ、マニュエル・ルグリ、シルヴィ・ギエムが招かれ50周年に美しく大きな花を添えた。演目は次の通り。
- ペトルーシュカ(ミハイル・フォーキン振付)
- スプリング・アンド・フォール(ジョン・ノイマイヤー振付)
- オネーギンより第3幕のパ・ド・ドゥ(ジョン・クランコ振付)
- ラ・バヤデールより“影の王国”(ナタリア・マカロワ振付(マリウス・プティパ版による))
- ボレロ(モーリス・ベジャール振付)
東京バレエ団は佐々木忠次代表が創立した。佐々木代表は「50年のあゆみ」の中で、「東京バレエ団のような大規模なバレエ団を民間で運営している例は世界中を見渡してもほとんどない。当事者がいうのはおかしいかもしれないが世界30ヵ国152都市で738回も公演を実施している芸術団体が日本に存在していること自体がほとんど奇跡であり、客観的に見ても世界に誇れる財 産ではないかと思う。」と述べている。
そのバレエ団を創設し奇跡的な芸術団体に育てあげた佐々木忠次代表こそ20世紀が生んだ奇跡的な国際的プロデユーサーである。東京バレエ団は日本が世界に誇る芸術団体であるが、佐々木代表は日本が世界に誇るプロデューサーである。
佐々木忠次代表の今後への思いを、「東京バレエ団50年のあゆみ」から借用したい。
「ニネット・ド・ヴァロワがつくったプライベートのバレエ団がいまから58年前の1956年に王室勅書により今日の「英国ロイヤル・バレエ団」になったように、見識のある為政者が国際的に高い評価を受けている東京バレエ団の活動を認め、国立や都立といった公共のバレエ団にする日がきてもおかしくないのではないかと考えている。」
東京バレエ団は佐々木代表の人生そのものであり、東京バレエ団が創立50年を経て永遠である以上、佐々木代表の人生も終わりはなく永遠である。
それを知っているのは、東京バレエ団を愛し佐々木代表を敬愛している国民である。東京バレエ団や佐々木代表の強みは国民から愛されていることである。
東京バレエ団の管理運営をしているのは公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)であり、佐々木代表はこの公益財団法人の専務理事として、ミラノスカラ座、パリオペラ座、ウィーン国立歌劇場、ローマ歌劇場、英国ロイヤルオペラなどのオペラを日本に招聘して多大の国際貢献を果たしている。
「バレエに比べオペラが数倍好きであった」(「50年のあゆみ」から)佐々木代表は20年以上前から一つのテーマをもっている。
それは「佐々木オペラハウス」の設立である。オペラハウスはオペラ・バレエ劇場でもある。国民はこの夢の実現を期待している。
佐々木さんの人生は終わることがない。
(写真は祝祭ガラ・祝賀パーティが行われたNHKホールロビー)