報道:第1回PREシンポジウム
2011.10.13
IT企業法務研究所代表研究員 棚野正士
一般社団法人映像実演権利者合同機構(PRE)が9月22日東京會舘(丸の内)で、第1回シンポジウム「放送通信融合時代のコンテンツ流通と実演家の権利を考える」を開催した。参加者は先着200名の募集に対して251名で、PREに対する期待の強さとテーマへの関心の高さを思わせた。
シンポジウムは2部に分けて合計4時間にわたって開かれた。第1部は下記5人のパネリストによるプレゼンテーションが行なわれた
- 総務省情報流通行政局大橋秀行総務課長「地デジ移行後のオールデジタル時代の放送とこれからの政策」
- NHK経営企画局(デジタル推進)元橋圭哉専任部長「デジタル新時代・より豊かな放送文化を求めてーサービス高度化とネット連携のあり方についてー」
- NTTぷらら板東浩二代表取締役社長「ひかりTVの現状と今後の事業展開について」
- ニワンゴ杉本誠司代表取締役社長「ソーシャルネットが生み出すメディア変革の時代(CASE:ニコニコ動画)」
- グーグル水野有平コンテンツパートナーシップ統括部長「Google,,YouTubeが提供する、コンテンツ保護と利活用のための技術パラットホームの可能性」
第1部のプレゼンテーションでは、総務省大橋課長は放送の使命について語り、価値創造のために放送、通信がどう使われていくが課題であると発言し、NHK元橋専任部長は本年3月11日の東日本大震災はメディアが変わるきっかけになったと話し、国民の安心、安全のために異種メディアが相互に補完し合い、必要な情報を必要な人に伝えることが大切であると語った。また、人々の心に寄り添い、人々の心を支える必要があると話し、放送、通信の技術が文化の発展を促すことが大事であり、クリエイティブが尊重される環境、社会を目指したいと放送の使命を話した。NTTぷらら板東社長は“光”の構築、インターネット市場の拡大を説き、ニワンゴ杉本社長はニコニコ動画を紹介し動画配信サービスについて語り、ニコニコ動画上でのコミュニケーションについて自論を展開した。また、グーグル水野統括部長は、世界中の情報を整理して世界中の人々がアクセスして使えるようにすると企業戦略を説いた。
第2部はジャーナリスト町田徹氏を総合司会・モデレーターにして(アシスタントは高田景子さん)、パネリスト5人に芸能プロダクション・タイタン太田光代社長、PRE浅原恒男代表理事が加わり、場内からの質問を中心に活発なパネルディスカッションが行なわれた。
なお、場内からの質問はQRコード読取りによるケータイメールで寄せられ、参加者から多様な質問や発言が出された。
シンポジウム終了後懇親会が開かれ、出席者は懇談しながらさらに議論を深めていた。シンポジウムと懇親会を同時に開いたことはシンポジウムのテーマをより深め、又出席者間の交流を計る意味で有効であったと思われる。この懇親会では、総務省総合通信基盤局桜井俊局長、文化庁長官官房芝田政之審議官、日本芸能実演家団体協議会野村萬会長、日本音楽事業者協会尾木徹会長、演奏家権利者合同機構ミュージックピープルズネスト椎名和夫代表幹事が挨拶し、PREの組織としての人脈の広さが伺えた。
なお、PRE(一般社団法人映像実演権利者合同機構。浅原恒男代表理事)は2001(平成13)年に設立され、映像実演にかかわる実演家、権利者から著作隣接権と肖像権の委任を受け、映像実演の権利処理を行なっている。
2011年4月現在PREに権利を委任している実演家及び事業者は33,190名、1,589事務所である。
以上