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「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(通称「劇場法」)施行

IT企業法務研究所代表研究員 棚野正士

 「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(平成24年法律第49号)が、超党派音楽議員連盟(会長:中野寛成議員)による議員立法で6月21日に成立し、6月27日から施行された。劇場法は芸団協(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)の10年に亘る運動の成果である。
 芸団協では、2001年の文化芸術振興基本法成立後すぐに劇場の法整備についての研究を開始し、2009年に「社会の活力と創造的な発展をつくりだす劇場法(仮称)」をまとめ、以後活動を継続して、今回の劇場法成立に漕ぎつけた。
「文化芸術振興基本法」も芸団協が提起し、音楽議員連盟による議員立法で成立している。
 劇場法第1条(目的)はこう述べている。
「この法律は、文化芸術振興基本法(平成13年法律第148号)の基本理念にのっとり、劇場、音楽堂等の活性化を図ることにより、我が国の実演芸術の水準の向上等を通じて実演芸術の振興を図るため、劇場、音楽堂等の事業、関係者並びに国及び地方公共団体の役割、基本的施策等を定め、もって心豊かな国民生活及び活力ある地域社会の実現並びに国際社会の調和ある発展に寄与することを目的とする。」
 また、第2条(定義)で、「この法律において「実演芸術」とは、実演により表現される音楽、舞踊、演劇、伝統芸能、演芸その他の芸術及び芸能をいう。」と規定している。法律で「実演芸術」が定義されたのは初めてであると思われ、また、著作権法以外で「実演家」という用語が使われている(第13条)のもこの法律が初めてであると考えられ、「実演芸術団体」また「実演家」にとっては画期的な法律である。
 知的財産立国を国家戦略の柱にする日本にとっては、劇場法は歴史的な法律である。芸団協の存在なくしてはこの法律は生まれてなく、音楽議員連盟との連携がなければ法の制定は出来ていない。問題提起してわずか10年で劇場法を立法化した芸団協の知的生産能力は極めて大きい。また、現在の政治情勢にあっては、超党派の音楽議員連盟は重要な役割をもっていると思われる。

以上

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