刊行物紹介 「劇場等演出空間の運用および安全に関するガイドラインー公演にたずさわるすべての人々のためにー」
IT企業法務研究所代表研究員 棚野正士
標記の貴重な刊行物が、「劇場等演出空間運用協議会」(基準協)からこの度発行された。
本書の「はじめに」に、目的をこう書いてある。
「2006年に公演制作現場での事故が続いたことを憂い、公演制作を担う関係者が立場を超えて集い、劇場等演出空間運用協議会(基準協)を創設しました、基準協は、劇場、屋内外の仮説舞台など劇場等演出空間での創造性あふれる自由な表現活動のさらなる発展に資するため、劇場等演出空間での安全確保を図る運用基準の作成と普及を目的としています。」
目次を見ると、「劇場等演出空間における安全衛生管理体制」「劇場等演出空間における安全衛生管理」「電気の安全事項」「劇場等演出空間の施設管理」「仮設舞台の安全管理」に分かれ、それぞれ具体的なきめ細かい作業ごとにガイドラインが詳述されている。
この中には、「危機発生時の緊急措置」も含まれ、「地震災害対応フロー」も書かれている。
地震などの自然災害対策が社会的課題となり、また「劇場法」が2012年6月27日から施行されたこの時期に、7月1日付けで本書が刊行された意義は大きい。
「ガイドライン」を担当した芸団協職員大井優子さんはこう語っている。
「2007年から舞台に関わる16団体が集まって議論が重ねられ、少しずつ改訂を経て2012年版ができました。異なる職種の方々が顔を合わせるからこそ、それぞれの現場での問題意識も共有でき、またこういったものがあると、という提案も出てきます。またそれを形にして、各地で参考にしていただけるように、みなさんと協力してがんばりたいと思います。」
なお、基準協は16団体で構成されており、事務局は芸団協(公益社団法人日本芸能実演家団体協議会)の中にある。(http://www.geidankyo.or.jp/kijunkyo/)
以上