加戸守行氏、著作権法学会2013年度研究大会で記念講演
IT企業法務研究所代表研究員 棚野正士
今年2013年4月20日、一橋記念講堂で著作権法学会2013年度研究大会が230人の参加者の下に開催された。
研究大会では野村豊弘会長(学習院大学教授)の開会挨拶の後、元愛媛県知事・元文化庁次長加戸守行氏が「人権としての著作権」と題する記念講演を行った。
加戸氏は、学生時代に知った漢の劉邦が漢中を制圧したとき、秦の極めて煩雑な法律を全て廃して、殺すなかれ・傷つけるなかれ・盗むなかれの三つを定めた法三章に代えたことを導入部で話し、プラトンが人間の最も基本的な分類として、知を愛する人、勝利を愛する人、金銭を愛する人、という三つの種類があると説いたと述べると共に、世界人権宣言を論じて加戸氏の著作権法哲学とも言うべき基本的思想を開陳した。又、同時にプログラムを著作物とした延べ1000時間に及ぶドラマを紹介し研究会参加者を魅了した。
又、記念講演の後、個別報告としてBranislav Hazucha北海道大学大学院法学研究科准教授が「Copyright Law in Users’ Eyes:Empirical Studies
on Copyright Piracy in Japan」(ユーザーから見た著作権法:著作権海賊行為に対する日本人の意識調査)を 報告した(通訳:田村善之北海道大学大学院法学研究科教授)。
午後は総会(著作権法学会総会及びALAI JAPAN総会)の後、シンポジウム「私的複製」(司会:横山久芳学習院大学法学部教授)が開かれ、下記5人の学者が問題提起し討論が行われた。
●島並良神戸大学大学院法学研究科教授「私的複製の正当化根拠」
●蘆立順美東北大学大学院法学研究科教授「私的複製の範囲と主体」
●山神清和首都大学東京都市教養学部法学系教授「私的複製の例外」
●潮海久雄筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授「私的複製と補償金制度」
以上