CISACと欧州18団体、著作権管理契約の競争制限的条項を排除へ

海外ニュース

欧州委員会は14日、世界各国の著作権管理団体で組織される著作権協会国際連合(CISAC)および同連合に加盟する欧州経済領域(EEA)内の18の著作権管理団体から実演権(performing right)に関連した契約条項の修正案が提出されたことを明らかにし、各方面からの意見募集を開始した。
 問題となっているのは衛星、ケーブル、インターネットを介した音楽の再送信に係る著作権管理の仕組み。欧州委はCISACの「標準契約」とEEA内の加盟団体が二国間で結んでいる「相互代理契約」の一部条項にはそれぞれ排他的な要素が含まれており、EU競争法に違反する疑いがあるとして、CISACと18団体に対し2006年1月、異議告知書を送付していた。
 欧州委は異議告知書の中で
 ◆会員に対する制約:作詞家、作曲家、音楽出版者は拠点を置く国の管理団体以外とは著作権の信託契約を結ぶことができない
 ◆地理的制約:音楽コンテンツの送配信事業者は、拠点を置く国の管理団体から著作物の利用許諾を得ることを義務付けられており、許諾の効力は当該国内に限定される

の2条項が競争制限的行為(EC条約第81条)に当たる可能性があると指摘。これによって各国の管理団体が自国における著作権管理業務を独占し、同分野への新規参入を事実上、不可能にしているとの見解を示している。これに対しCISACと欧州18団体は今月12日、会員に対する制約を排除すると共に、二国間契約の地理的制約を緩和して複数市場で有効なライセンスを取得できる仕組みを整える方針を欧州委に伝えた。
 欧州委は7月9日までの期間、CISAC側が提示した修正案に対するコメントを受け付ける。特に反対意見がなければ提案内容がそのまま法的拘束力を持つ規則となる。
ルール違反があった場合は違反団体に制裁金として年間売上高の最大10%の支払いが命じられる。

 (European Commission Press Release, June 14, 2007 他)

コメントを投稿する




*

※コメントは管理者による承認後に掲載されます。

トラックバック