英国で録音物の著作権保護期間延長へ、文化相が方針転換を表明

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 英国のバーナム文化・メディア・スポーツ相は10日、録音物に対する著作権保護期間を現在の実演後50年から70年に延長する方針を明らかにした。政府は昨年7月、保護期間を延長しても実際に恩恵を受けるアーティストはごく一部にとどまり、消費者の負担が増すだけだとして音楽業界の要求を拒否していた。
 文化相はロンドンで開かれた作曲家や演奏家が加盟する団体UK Music主催のイベント「クリエイターカンファレンス」で講演し、「歌手や演奏家が生涯にわたって作品に対する著作権保護の恩恵を受けることは道徳上の権利だ。保護期間の延長によって実演家の利益が最大化されるようにしなければならない」と語った。
 英国では著作物の保護期間は作家や作曲家など著作者の死後70年間となっている。これに対し、録音物の保護期間はレコーディングから50年間で、米国の95年や豪州の70年と比べても短く設定されている。英国ではクリフ・リチャード、ビートルズ、ローリングストーンズなどのヒット曲が近く相次いで著作権保護の対象外となるため、ミュージシャンやレコード会社から保護期間の延長を求める声が高まっている。
 録音物の著作権をめぐっては、EUの執行機関である欧州委員会が今年7月、保護期間を現行の実演後50年から95年に延長する方針を打ち出した。平均寿命が伸びるなかで、実演家が生涯にわたって著作権収入を得られる仕組みを整えるのが狙い。今回のイベントで欧州委のマクリービー委員(域内市場担当)は、録音物に対する著作権保護期間を95年とする域内共通ルールの導入を目指す方針を改めて示した。

(Managing Intellectual Property, December 15, 2008)

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