グーグルがブック検索訴訟で修正和解案、英語圏4カ国に対象限定

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グーグルがブック検索訴訟で修正和解案、英語圏4カ国に対象限定

 米グーグルは13日、同社の「ブック検索」サービスをめぐる集団訴訟の和解案について、適用対象を米国、英国、カナダ、オーストラリアで発行された書籍に限定することを柱とする修正案をニューヨーク連邦地裁に提出した。当初の和解案が裁判所に承認された場合、米国以外の書籍もデジタル化の対象となり、各国の著作権者に影響が及ぶため、欧州を中心にグーグルに対する批判が高まっていた。グーグルはこうした動きを背景に、まず英語圏の主要4カ国で書籍のデジタル化事業を進める方向に軌道修正した。裁判所は公聴会などを経て、来年の早い段階で修正案を承認するかどうか最終判断するものとみられる。

 グーグルは2004年に大学図書館の蔵書をスキャンしてデータベース化する事業に着手した。出版社や作家協会はこれに対し、著者や出版社の許可を得ずに書籍をデジタル化する同社のサービスは深刻な著作権侵害行為に当たると主張し、05年9月に相次いで訴訟を起こした。双方は3年にわたる交渉を経て昨年10月、グーグルが書籍データベースの利用を通じて得た利益の63%を著作権者に支払うことなどを柱とする和解案で合意。無許可でデジタル化された書籍に対する補償金や、オンライン上での書籍の著作権管理や権利者への利益分配などを行う独立機関「版権レジストリ」の創設費用、さらに訴訟費用として合計1億2,500万ドルをグーグルが負担することなどが和解案に盛り込まれた。

 同事案は集団訴訟と認定されたため、米国で著作権を有するすべての人に和解の効力が及ぶとされ、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定により、日本や欧州など国外の著作者や出版社も対象に含まれることとなった。和解案が承認されると米国のユーザーは著作権保護期間が終了した書籍に加え、著作権者を特定できない「孤児作品」を含めて絶版または市販されていない保護期間内の書籍も閲覧できるようになる。市販されているかどうかは米国内での流通状況に基づいて判断されるため、国外で市販されている保護期間内の書籍が権利者の許可なくデータベースに取り込まれて公開される可能性があり、フランスやドイツなどが強く反発。米連邦取引委員会(FTC)や米司法省も当初の和解案に懸念を示し、グーグルに修正を迫っていた。

 今回の修正案によると、和解の対象は2009年1月5日までに発行され、米国著作権局に登録済みの書籍と、米国、英国、カナダ、オーストラリアで同日までに発行された書籍に限定され、「商業的に入手可能」な書籍は「これら4カ国で入手可能なもの」と定義された。また、孤児作品の取り扱いに対する懸念に対応するため、孤児作品の権利者の利益保護にあたる独立した「受託者(fiduciary)」を置き、著作者の特定などに努めるほか、商業化に関連したあらゆる決定を行う仕組みを整える。さらに版権レジストリの構成について、和解の対象となる4カ国の作家と出版社から各1名ずつの計8名を理事会メンバーとする方針が明記されている。

 欧州出版連盟(FEP)は修正和解案について「グーグルと米国の関連団体が欧州出版業界の懸念に配慮し、いくつかの点で前進がみられたことは評価する。さらに内容を精査したうえで最終的に判断する」との声明を発表した。一方、当初の和解案の修正を求めてマイクロソフト、ヤフー、アマゾンなどが結成した「オープン・ブック・アライアンス」の首脳は「新たな提案を検証したが、グーグルとそのパートナーは巧妙なごまかしを行っているとの印象を受けた」と述べ、孤児作品の扱いなどをめぐる根本的な問題は解消されてないとの見方を示した。

また、米司法省の報道官は「修正和解案について現在検討を進めている。ブック検索サービスをめぐる調査は引き続き進行中だ」とコメントしている。

(The New York Times, November 14, 2009 他)

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