グーグルの書籍電子化計画、仏で著作権侵害の判決

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グーグルの書籍電子化計画、仏で著作権侵害の判決

 米グーグルのブック検索サービスが著作権侵害にあたるとして仏大手出版社などが起こした損害賠償訴訟で、パリの地方裁判所は12月18日、グーグルに対し、権利者の許諾のない書籍の電子化の禁止と30万ユーロの損害賠償支払いを命じる判決を下した。グーグルは上訴する意向を示している。

 グーグルは2004年から世界の大学図書館などの蔵書をスキャンしてデータベース化する事業を進めている。フランスの大手出版グループ、ラ・マルティニエール(La Martiniere)は06年、権利者の許可を得ずに書籍をデジタル化して閲覧可能にするブック検索サービスは深刻な著作権侵害行為に当たるとして、出版社協会(SNE)および作家協会(SGDL)と共同でグーグルを提訴。自身は同サービスを通じて広告収入を得る一方、著者や出版社には報酬を支払っていないと主張し、グーグルに1,500万ユーロの損害賠償を求めていた。

 裁判所は判決で「グーグルは権利者の許可なく書籍の全文または一部をスキャンして著作権を侵害し、ラマルティニエール傘下の出版社に損害を与えた」と原告側の主張を認定。賠償金に加え、許諾を得ていない書籍の抜粋をデータベースから削除するまでの間、1日につき1万ユーロの罰金を支払うよう命じた。

 グーグル側は判決に対し、「書籍のごく一部を抜粋して表示することがフランスや米国の著作権法に抵触するとは考えていない。判決はフランスをはじめ世界の文学作品にアクセスしたいと考えているインターネットユーザーの権利を制限するものだ」(出版社とのパートナープログラムを統括するフィリップ・コロンベ氏)などと反論。そのうえで、今回の判決が同プロジェクトをめぐる米出版業界との和解に影響を及ぼすことはないとの考えを示した。

 米国における集団訴訟では、米国の出版社や作家協会とグーグルは08年、グーグルが書籍データベースの利用を通じて得た利益の63%を著作権者に支払うことなどを柱とする和解案で合意した。しかし、和解内容をめぐってフランス、ドイツ、日本などで批判が高まったのを受け、グーグルは昨年11月に対象を米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏4カ国で発行された書籍に限定する修正案をニューヨーク連邦地裁に提出した。
早ければ2月にも和解を正式承認するかどうかの判断が下される見通しだ。

(The New York Times, December 19, 2009 他)

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