英で「デジタル経済法」が成立、違法ダウンロード常習者に「技術的措置による制限」

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英で「デジタル経済法」が成立、違法ダウンロード常習者に「技術的措置による制限」

 英議会下院は7日、インターネット上の著作権侵害対策などに関する条項を 盛り込んだ「デジタル経済法案(Digital Economy Bill)」を189対47の賛成多数で可決した。同法案は上院でも可決され、女王の裁可を得て8日に「デジタル経済法 (Digital Economy Act)」が成立した。デジタル経済法案は、英政府が2009年6月に

発表したデジタル時代における情報通信技術(ICT)分野の戦略ビジョン「デジタル ・ブリテン(Digital Britain)」を推進するための法的枠組みとして策定された。
違法ダウンロード対策のほかに通信・メディア監督機関Ofcomの役割、ラジオ放送 のデジタル移行、ブロードバンドの普及対策、ドメイン管理業者に対する規制など幅広い分野をカバーしている。

 最大の焦点となっていたネット上の著作権侵害対策に関しては、当初、フランス などが導入に踏み切った「スリーストライク」(3回目の違法ダウンロードでネット 接続を切断)と同様の規定が盛り込まれていたが、一部のインターネット接続業者 (ISP)や市民団体などの強い反発を背景に、違反ユーザーに対する制裁措置から 「切断」という文言は削除された。具体的には以下のような条文が盛り込まれている:
  1. 明らかな著作権侵害が認められる場合、著作権者はISPに対し、1カ月以内に違法ダウンロードの証拠を添えて「著作権侵害報告」を送付することができる
  2. ISPは問題となった加入者に対し、1カ月以内に著作権者から提示された証拠を添えて警告書を送らなければならない
  3. ISPは求めに応じ、著作権者に違法ダウンロードを行ったユーザーを匿名化した「著作権侵害リスト」を提供しなければならない
  4. 違反者に対する警告後も改善がみられない場合、政府はOfcomに対し、ISPに技術的措置による制限を加えるよう命じるべきか否かについて指示することができる。技術的措置には回線の接続速度や帯域の制限、アカウントの一時停止などが含まれる
  5. ISPが違法ダウンロードをくり返し行っている加入者に対して技術的措置を講じなかった場合、Ofcomから最大25万ポンドの罰金を科される可能性がある一方、著作権者が不明な孤児作品の使用を可能とする規定や、次世代高速ブロードバンド網を整備するための財源として、固定電話の月額料金に一律50ペンスを上乗せする構想などは法案から削除された。

 下院では最終的に野党保守党が賛成票を投じて法案が可決されたが、5月6日 の総選挙を控えて議会の解散前に法案を処理するための特別な承認プロセスが 採用されたため、650人の定員に対し賛成189票で可決されるという異例の事態と なった。

(Daily Telegraph/IP Watch, April 8, 2010 他)

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