グーグル書籍検索訴訟の修正和解案、米連邦地裁が承認拒否

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グーグル書籍検索訴訟の修正和解案、米連邦地裁が承認拒否

 米グーグルの書籍検索サービスをめぐる訴訟に関連して、米ニューヨーク南地区連邦地方裁判所は3月22日、グーグルと米出版社協会および米作家協会が合意した修正和解案の承認を拒否した。

 連邦地裁のデニー・チン(Denny Chin)判事は意見書で「書籍のデジタル化や、誰でも利用できるデジタル図書館の創設は多くの人に恩恵をもたらすと考えられるが、修正和解案には行き過ぎた点がある」と指摘。「著作権者の許可なくグーグルがあらゆる書籍を利用する権利を得る」ことで、同社は「極めて有利な立場」を築くことになり、「公正さや妥当性を欠く」と結論づけ、著作権者が事前に不参加を表明しない限り、すべての書籍が自動的にデジタル化の対象になる「オプトアウト方式」の見直しを求めた。

 チン判事はさらに、著作権者を特定できない「孤児作品」の扱いに触れ、和解修正案を認めた場合、孤児作品のデジタル化事業を実質的にグーグルが独占することになると指摘。「孤児作品の管理をどのような条件で誰に委託するかという問題は、私的な利害関係者による合意ではなく、米議会によってより適切に判断されるべき事案だ」と述べている。

 グーグルは2004年に大学図書館の蔵書をスキャンしてデータベース化する事業に着手した。米出版社協会と米作家協会はこれに対し、著者や出版社の許可を得ずに書籍をデジタル化する同社のサービスは深刻な著作権侵害行為に当たると主張し、05年9月に相次いで訴訟を起こした。双方は3年にわたる交渉を経て08年10月、グーグルが書籍データベースの利用を通じて得た利益の63%を著作権者に支払うことなどを柱とする和解案で合意。無許可でデジタル化された書籍に対する補償金や、オンライン上での書籍の著作権管理や権利者への利益分配などを行う独立機関「版権レジストリ」の創設費用をグーグルが負担することなどが和解案に盛り込まれた。

 ただ、同事案は集団訴訟と認定されたため、米国で著作権を有するすべての人に和解の効力が及ぶとされ、著作権に関する国際条約「ベルヌ条約」の規定に基づき日本や欧州など国外の著作者や出版社も対象に含まれることとなった。
このためフランスやドイツなどを中心に和解案に対する反発が強まり、グーグルと米2団体は09年11月、適用対象を米国、英国、カナダ、オーストラリアの英語圏4カ国で発行された書籍に限定することを柱とする修正和解案で合意。
ニューヨーク連邦地裁に最終的な承認を求めていた。

(Out-Law News, March 24, 2011 他)

(庵研究員著)

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