ISPに対するフィルタリング義務化は「違法」、EU司法裁が著作権管理団体の主張却下

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ISPに対するフィルタリング義務化は「違法」、EU司法裁が著作権管理団体の主張却下

 EU司法裁判所は24日、著作権保護されたコンテンツの違法な流通を阻止するため、
インターネット・サービス・プロバイダー(ISP)にフィルタリングを義務づけるべきだとする著作権管理団体の主張を退ける判決を言い渡した。

 同事案はベルギーの著作権管理団体SABAMが2004年、同国の通信大手ベルガコム傘下のISPであるスカーレット(Scarlet)の加入者がファイル共有ネットワークを介して音楽ファイルを不法にダウンロードしているとして、スカーレットに対し、違法コンテンツの
遮断を求めて訴えを起こしたのが発端。一審はSABAMの主張を認め、スカーレットにネットワークのトラフィックを監視し、違法コンテンツの送受を阻止するフィルタリングシステムの導入を命じる判決を下したが、スカーレット側はこれを不服として上訴。ベルギーの上訴裁判所がEU司法裁に見解を求めていた。

 司法裁は判決で「EU法、とりわけ電子商取引指令の規定は、ファイルの違法ダウンロードを防止する目的で、当局がISPにフィルタリングシステムの導入を命じることを禁止している」と説明。こうした監視システムは個人情報保護、自由なコミュニケーションといった「ユーザーの基本的人権」を侵害するおそれがあるうえ、費用や技術面でISPに過度の負担を強いると指摘。スカーレットに対し、すべての顧客によるネットワーク上のトラフィックを自己費用で監視することを義務づけた一審の判断は、知的所有権の保護と、事業を行う自由や個人情報保護のバランスを著しく欠いており、「EU法に合致していない」と結論づけた。

(Reuters, November 24, 2011 他)

(庵研究員著)

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