米Aereoの地上波テレビ再送信サービス、控訴裁判所がTVネットワークの差止め請求を却下
海外ニュース
米新興企業Aereoによる地上波テレビのストリーミングサービスをめぐる著作権侵害訴訟で、ニューヨークの第2巡回区連邦控訴裁判所は1日、主要テレビネットワークが求めていたAereoに対する業務差止めの仮処分申請を却下した連邦地裁の判断を支持する決定を下した。現在ニューヨーク周辺で事業展開するAereoは年末までに国内22市場にサービスを拡大する方針を打ち出しており、裁判所の判断は同社にとって追い風となる。一方、今後はAereoを追随する動きも予想されるため、テレビネットワーク側は抜本的な戦略の見直しを迫られそうだ。
AereoはFoxの元最高経営責任者(CEO)Barry Diller氏率いるInterActiveCorpなど複数のベンチャーキャピタルから資金提供を受け、昨年3月にニューヨークでサービスを開始した。同社のサービスは加入者ごとにコインサイズの超小型アンテナを用意し、箱状の「データセンター」にそれらのアンテナを集積。個々のアンテナがユーザーのリクエストに合わせて地上波の番組を受信し、インターネットでストリーミング配信する仕組みになっている。加入者はパソコン、スマートフォン、タブレット端末などウェブ対応のデバイスでABC、CBS、NBC、Fox、PBSをはじめとする約30チャンネルの地上波放送をライブで視聴できるほか、録画予約も可能。利用料金は最大20時間分のオンラインストレージ付きで1日1ドルまたは月額8ドル、40時間コースが月額12ドルとなっている。
ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送などの多チャンネル事業者はテレビネットワークに再送信料を払って地上波テレビ番組を再送信しているが、Aereoは番組供給業者の許諾を得ずにネット経由で番組を提供しているため、テスト運用の段階でABC、CBS、NBC、Fox、PBSなどニューヨークをカバーするほぼすべてのネットワークから相次いで著作権侵害で訴えられた。Aereoはこれに対し、小型アンテナを集積したデータセンターはいわば「テレビチューナー」にあたり、同社は受信用アンテナをユーザーにライセンスしているだけで、放送信号を伝送している
わけではないため、「公衆送信権の侵害にはあたらない」などと主張。
ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は昨年7月、Aereoの主張を一部認め、テレビネットワーク側による業務差止めの仮処分申請を却下した。
第2巡回区控訴裁判所では2対1で判事の意見が分かれたが、多数意見はAereoのストリーミングサービスは個々の加入者に対する番組提供にすぎず、「著作物の公衆伝達」にはあたらないと指摘。Aereoによる著作権侵害が認定される可能性は低いとの見解を示し、サービスの即時停止を求めたテレビネットワーク側の仮処分申請を却下した連邦地裁の判断は適切と結論づけた。
(The New York Times, April 1, 2013)
(庵研究員著)
AereoはFoxの元最高経営責任者(CEO)Barry Diller氏率いるInterActiveCorpなど複数のベンチャーキャピタルから資金提供を受け、昨年3月にニューヨークでサービスを開始した。同社のサービスは加入者ごとにコインサイズの超小型アンテナを用意し、箱状の「データセンター」にそれらのアンテナを集積。個々のアンテナがユーザーのリクエストに合わせて地上波の番組を受信し、インターネットでストリーミング配信する仕組みになっている。加入者はパソコン、スマートフォン、タブレット端末などウェブ対応のデバイスでABC、CBS、NBC、Fox、PBSをはじめとする約30チャンネルの地上波放送をライブで視聴できるほか、録画予約も可能。利用料金は最大20時間分のオンラインストレージ付きで1日1ドルまたは月額8ドル、40時間コースが月額12ドルとなっている。
ケーブルテレビ(CATV)や衛星放送などの多チャンネル事業者はテレビネットワークに再送信料を払って地上波テレビ番組を再送信しているが、Aereoは番組供給業者の許諾を得ずにネット経由で番組を提供しているため、テスト運用の段階でABC、CBS、NBC、Fox、PBSなどニューヨークをカバーするほぼすべてのネットワークから相次いで著作権侵害で訴えられた。Aereoはこれに対し、小型アンテナを集積したデータセンターはいわば「テレビチューナー」にあたり、同社は受信用アンテナをユーザーにライセンスしているだけで、放送信号を伝送している
わけではないため、「公衆送信権の侵害にはあたらない」などと主張。
ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は昨年7月、Aereoの主張を一部認め、テレビネットワーク側による業務差止めの仮処分申請を却下した。
第2巡回区控訴裁判所では2対1で判事の意見が分かれたが、多数意見はAereoのストリーミングサービスは個々の加入者に対する番組提供にすぎず、「著作物の公衆伝達」にはあたらないと指摘。Aereoによる著作権侵害が認定される可能性は低いとの見解を示し、サービスの即時停止を求めたテレビネットワーク側の仮処分申請を却下した連邦地裁の判断は適切と結論づけた。
(The New York Times, April 1, 2013)
(庵研究員著)
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