地域振興のために「知的財産立県」を構想するための一つの資料
棚野正士備忘録
(高知の「知」は知的財産の「知」と称する高知の場合)
IT企業法務研究所代表研究員 棚野 正士 2009.11.24
高知市長宛意見書
高知市市民意見提出(パブリック・コメント)制度実施要領第6条の規定により、公表された計画等の案について意見書を提出します。
2009年5月20日 意見書提出者 棚野正士(たなの・まさし)
1.意見書を提出する対象となる公表された計画等の案
「高知市景観計画」及び「高知市景観条例」の概要について
2.意見の趣旨
高知市公式ホームページの「高知市景観条例の概要」によると、総則に「心安らぐ文化的で魅力のあるまちなみの創出、みどりや水辺等の自然を生かしたゆとりと潤いのあるまちづくりを進めます。」とあります。 又、「良好な景観の形成」の「景観形成重点地区」について、「重点的に良好な景観の形成を図る必要があると認められる地域を指定するもの」と記されています。 この意見書では、前記総則に添い、「景観形成重点地区」について、個人の立場から下記の通り意見を申し述べます。
- 景観形成の基本概念は、「水と緑と太陽と知的財産によるまちづくり」とする。水と緑と太陽、そして知的財産は景観形成の基本的要素であるが、特に、太陽と知的財産は同時に次世代ビジネス創出の重要要素でもある。太陽エネルギーの利用あるいは知的財産の活用は次世代ビジネスの鍵を握っており、高知は世界にその範を示してほしい。
- 前項基本概念に立って、景観形成重点地区は、はりまや橋を中心とし、桂浜から高知駅に到る南北ラインとする。
- 今、「森の中の高知駅」の提案が市民から運動として起きている。このパンフレットを見ると、 「(1)日本全国どの都市駅に下りても、四角いビルに囲まれた無機質な駅舎――余りにも見飽きた景色です。ひとつくらいは、感動できる駅があっても良いーー高知駅を世界に誇れる駅にしたいーー私どもはそんな夢を持ちました。 (2)高知の宝物は豊かな自然です。海を持ち運ぶことは無理だが、森なら出来るかも。山の木、庭の木、草花、皆で持ち寄って駅の周りに植えたらーーそうです、世界にただ一つ、「森の中の高知駅」を作るという夢です。 (3)高知の表玄関をーー。市民が集まり、憩い、楽しめる場所に、そして桂浜や五台山をしのぐビックな観光地に育てたいーーそう願っています。 “人々の植ゑし苗木よ年経れば駅を守りて栄えゆかなむ”」 と述べている。
- この「森の中の高知駅」を創り、ここを起点にして、はりまや橋を経て桂浜に到る南北ラインに森を伸ばす。具体的には、景観形成重点地区としての南北ラインを街路樹の並木道にする。樹木は一種類ではなく、実のなる木を中心に多種多様な種類を植える。木から生まれる果実は市民が自由に収穫できる仕組みにする。又、街路樹一本一本について、市民一人一人から寄付をしてもらい、樹木に寄付者の名前を架けておく、ということは考えられないだろうか。
- 日本国民にとって、高知と言えば「はりまや橋」であり、「はりまや橋」のブランド力は非常に大きいものがあるが、現実の建造物としてのはりまや橋は余りにも貧弱であり、観る人の心を膨らませる内に秘めた力がない。現在の橋は歴史的意味も語らず、裏づけとなる思想・哲学もなく単なる物理的建造物でしかない。 高知のイメージを日本全国さらに世界にアピールするためには、高知を象徴する「はりまや橋」を物理的建造物ではなく、文化的建造物として建て替えなければならない。これは最も急ぐ課題ではないだろうか。
- 地名としてのはりまや橋は土佐電鉄の南北・東西ラインが通り、景観的にも南北・東西ラインの基点として重要である。その位置付けを考えると、交差点としてのはりまや橋周辺を整備する必要があるのではないか。 特に、旧土電西武デパート跡地は森として活用するとどうか。単なる森ではなく、高知各地の村や町の物産を持ち寄り販売する“農海産物等展示即売会場”にし、又知的財産センターも併設するとどうか。 知的財産センターには、マンガ、絵画、音楽、踊り、文学等の知的財産に関する情報スペース、公開スペース、研修所を置くとどうか。又、学問的成果の公開、高知の生んだ人的財産に関する情報提供等々高知に関する情報を全て提供し、学べる場所にするとどうか。 さらには、アジア等、特に北方アジア諸国・地域との交流の場にするとどうだろうか。 いずれにしても、知的情報センターは建物というハードではなく、ソフトに視点を置けば、可能性は限りなく広がる。 なお、旧土電西武デパート跡地の向い側にある銀行ビルの存在は、高知の景観の象徴的地区である「はりまや橋」には相応しくない。移転を促すか、移転が困難であれば銀行ビルに文化的スペースを設けることは出来ないだろうか。もし出来れば、経済と文化の両面を兼ね備えた建物が高知の中心地に生まれて、今後、高知市あるいは高知県が経済、文化両方を踏まえた地域づくりを目指しているという意思を示せることにもなるのではないか。 国は、2002年から「知的財産立国」を国家戦略にしているが、それを受けて、地域も「知的財産立県」「知的財産立市」を標榜するとおもしろいと思う。
- 桂浜は高知県あるいは高知市にとって最も重要な地域であるが、ここに到るアクセスが弱いように思われる。陸路、海路共に力強く且つ楽しいアクセス方法が考えられても良いのではないか。又桂浜の駐車場が素人目には貧弱のように思われる。外からは見えないようにして、地下あるいは海面下に広大なスペースを作ることは出来ないだろうか。 高知市民また高知県人にとって、桂浜は永遠の心のふるさとであるという視点からその景観の維持、発展を考えて頂きたい。
以上
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